研究概要 |
1β-ケトエステル誘導体のデザインと合成 申請者はエダラボンと等価な構造を有するmethy1 2,3-dihydro-2-oxo-1H-indene-1-carboxylate(1)が脳保護薬エダラボンと同等のラジカル消去活性を示すことを明らかにしている。今回は構造活性相関を明らかにし、より活性の高い化合物を創製することを目指して、側鎖をアセチル基とし、環内にヘテロ原子を導入した1の類縁体としてケトラクトン、ケトラクタム。アミド、イミド等を含む一連の誘導体ををデザイン・合成し、これらのDPPHラジカル消去活性、酸化電位、pKa、脂質過酸化抑制効果を比較評価したところ、ケトラクトン、ケトラクタムは有意な活性を示したものの1を上回るものではなかった。今後は体内動態も考慮しつつさらに活性の増強を試みたい。 2新規類縁体の細胞に対する毒性および酸化ストレス抑制効果の評価 アスコルビン酸と同等の部分構造を有するα-ピリドイン(3)およびその類縁体はアスコルビン酸に匹敵するラジカル消去活性を示し、脂質過酸化抑制効果はアスコルビン酸を凌駕した。これら一連の類縁体の生体における有用性を評価するため、HL-60細胞に対する毒性および細胞保護効果、および細胞内活性酸素種量の指標としてDCFH-DAをプローブとした評価を行い、いずれの場合もアスコルビン酸およびエダラボンを上回る高い活性を示した。今後は細胞内における分解物の同定および細胞内シグナル伝達経路に対する直接的もしくは間接的作用の解明を行い、医薬品リード化合物としての価値を調査する。
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