研究課題
基盤研究(C)
我々はこれまでに脂溶性ビタミンの様々な生理作用に着目し、それら化合物の誘導体を系統的に設計・合成して特定の生理作用を増強することに成功してきた。我々の行った研究は、主にビタミンA、DおよびKの構造修飾であり、側鎖部分にアルキル基を導入したり、構造の一部を他の官能基に変換するなどして受容体との結合能を高め、生理活性の増強を狙ったものである。活性が著しく上昇した誘導体については、受容体とのドッキングモデルを作製することにより結合の状態を明らかにし、作用機序の解明や、さらに活性を上昇させるための知見を見出している。このような成果を背景に、現在我々は脂溶性ビタミンの生物活性を有する新規化合物の創製を目指している。一般に、脂溶性ビタミンはほとんどが繰り返し構造を有する不飽和アルキル鎖を持っている。我々は、脂溶性ビタミン類が有する様々な生理作用の多くは、このアルキル鎖に由来するのではないかと考えている。事実、ビタミンAやE、Kでは、それぞれ側鎖の繰り返し構造の異なる異性体が存在し、それらは全く異なる生物活性を示すことが明らかとなっている。一方、脂溶性ビタミンの誘導体研究では、側鎖部分を修飾し、生理活性の増強を狙った化合物が多数報告され、医薬品化されたものも多数存在する。我々はこの不飽和アルキル鎖を脂溶性ビタミン類の共通構造として捉え、構造活性相関の研究を行うことにより生物活性をコントロールし、全く新しい生理活性物質を得られるのではないかと考えた。その一助として、まず、ビタミンAやKの側鎖として存在するイソプレノイド化合物に着目し、その繰り返し単位を変化させたり、末端の官能基を修飾した化合物を合成して生物活性を調べている。現在、各種癌細胞に対して非常に強いアポトーシス(細胞死)作用を有し、しかも前立腺癌をはじめとする癌細胞の種類によって特異的に作用するいくつかの化合物を見出している。
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