研究課題/領域番号 |
18590113
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
福山 愛保 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70208990)
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研究分担者 |
浅川 義範 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (50033874)
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キーワード | リカルデインC / 大環状ビスビベンジル / 核内受容体LXR / パラジウム / Suzuki-Miyaura反応 / アゴニスト / 構造活性相関 / 動脈硬化改善薬 |
研究概要 |
核内レセプターLXR (Liver X receptor)には肝臓や小腸に高く発現するαタイプと、全身に存在するβタイプが知られている。これら核内リセプターはコレステロールの代謝に関わる遺伝子発現を制御して、その生体における恒常性の維持に深く関与していることが知られている。大環状ビスビベンジル化合物リカルデインCはLXRαの特異的アゴニスト活性を有する天然物として知られ、新しい抗コレステロール薬への展開が期待されている。すでに本化合物の全合成は3例報告されているが、全収率は悪く効率的な合成の開発が待たれていた。大環状ビスビベンジルの合成において、大環状の閉環をどの位置で行うかでその合成の特徴が発揮できる。我々は、閉環前駆体に対してパラジウム触媒下Suzuki-Miyaura反応を応用することで、一挙にビアリール結合させて大環状化する戦略を検討してきた。まず、C-BrとC-OTf間へのPd (0)の酸化的付加の違いを利用してメタル化の位置選択的性を検討した結果、2.4等量ビスピナコールボラン存在下ジオキサン中Pd (PPh_3)_4触媒と塩基K_3PO_4の条件で反応すると、C-Brのみが選択的にピナコールボラン化された閉環前駆体が定量的に得られた。次いで、DMF中リガンドとしてSPhosを用いPd_2(dba)_3触媒条件下Suzuki-Miyaura反応を行うと、目的とする環化体が収率39%で得られた。最後に、脱メチル化するとリカルデインCの合成が完了した。さらに、3個の水酸基をメチル基で保護した可能な7種の誘導体を調整し、LXRαおよびLXRβに対するアゴニスト活性を検討した結果、リカルデインCのみに10μM〜30μM濃度依存的にLXRα特異的アゴニスト活性が発現したが、他の誘導体には全く活性が認められなかった。この結果、LXRαに対するアゴニスト活性にはリカルデインCの大環状構造と全ての水酸基が必要となり、水酸基を足掛かりにした誘導体合成は意味がないと結論した。
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