研究課題
薬物代謝酵素は肝外組織にも発現しており、その発現は遺伝的要因や環境的要因により大きく変動する。本研究では、環境化学物質の安全性・毒性評価法を確立するための一環として、薬物代謝酵素の代表的誘導剤であるβ-ナフトフラボン(BNF)、フェノバルビタール(PB)あるいはデキサメタゾン(DEX)曝露によるヒト肺癌細胞株A549のシトクロムP450(CYP)及びUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)の発現とその変動についてmRNA、タンパク質及び酵素活性レベルから検討した。BNF前処置によりCYP1A1、CYP1B1及びUGT2B15 mRNA発現量が増加し、CYP2B6及びUGT1A7 mRNA発現量が逆に減少した。PB前処置によりCYP1B1、CYP2B6 mRNA発現量が増加し、DEX前処置によりCYP1B1、UGT1A3、UGT1A7及びUGT2B7 mRNA発現量が増加した。しかし、これらのCYP及びUGT分子種のmRNAとタンパク質発現量並びに酵素活性の変動は完全に一致しなかった。これらの結果からA549細胞は薬物代謝酵素誘導剤によりCYP及びUGTは、少なくともmRNAレベルで変動することが示唆された。本研究より、A549細胞において薬物代謝酵素誘導剤曝露によりCYP及びUGTがmRNAレベルで変動し、さらにMCF-7細胞においてBNFによりCYP1A1/2及びUGT1A6が誘導されることが明らかとなった。これらの変動パターンは肝由来細胞とは異なること示唆された。本研究結果は、医薬品・環境化学物質の安全性・毒性評価に有益な情報を与えるものと期待される。
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