平成19年度は、昨年度までに確立してきたグリセオフルビン(GF)誘発ポルフィリン症モデルマウスを用いて、ヘム代謝異常の性状解析をさらに詳細に検討した。加えて、ポルフィリン症患者で見られる精神神経機能の変化を評価するために行動薬理試験を実施した。また概日リズムを評価するために、輪回し行動装置を用いた、行動解析を行った。 GF誘発ポルフィリン症モデルマウスを用いて、ヘム代謝異常について、さらなる検討を行った。肝臓中のヘム含量を評価するために、ヘムタンパク質であるミクロソーム中のP450量とヘムによるネガティブフィードバック制御を受けるδ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS1)のmRNAレベルを測定した。その結果、糞中ポルフィンリン体の蓄積が見られる以前のGF摂取3日目をピークに、ALAS1 mRNAの発現上昇が観察された。またP450量は、GF摂取後1週間目で最低値を取り、対照群の約70%程度にまで減少することがわかった。行動薬理試験では、GF摂取により不安様症状、うつ様症状などが観察された。概日行動リズムにおいても、日中の行動量が増えたり、夜間後半の行動量が減少するなど、リズム障害と思われる現象が観察された。
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