グリセオフルビンにより誘発されるポルフィリン症モデル動物を用いて、ヘム代謝異常、肝障害・皮膚障害並びに精神神経障害を行動薬理学的に評価した内容について、学術雑誌に投稿し受理された。 さらに同じ動物モデルを用いて、向精神薬に対する薬物作用を検討する中で、病態モデル動物において、ジアゼパムに対する感受性が著しく異なることを見出した。少し詳しく結果を示すと、グリセオフルビン摂取8日目において、ジアゼパムによる鎮静作用、抗けいれん作用は増大したにもかかわらず、アルコールによる催眠作用の延長効果は、著しく減弱した。この効果は、ジアゼパムの体内動態、すなわち血中濃度推移と脳内含量の変化とは、相関がみられなかった。このことから、薬物動態学的変化というよりは、薬物受容体などの発現変化が、薬物感受性の違いに寄与しているものと、考えられた。現在、このメカニズムの解明へ向けて検討中である。 ポルフィリン症モデル動物における概日リズムを評価し、行動リズム、体温リズムに異常が見られることを見出した。今後、本研究成果について、学会発表等を行う予定である。 ポルフィリン症モデル動物を用いた薬物感受性の変化並びに概日リズムの変化とヘム代謝との関係を明らかにすべく、治療薬であるヘム投与の効果を検討するべく、予備試験を検討中である。
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