グリセオフルビンにより誘発されるポルフィリン症モデル動物を用いて、ヘム代謝異常と概日リズムの関係について、精査した。 その結果、本ポルフィリン症マウスにおいて、概日行動リズムおよび概日体温リズムにおいて、位相の前進作用が確認された。 この概日リズムの位相前進作用は、ヘムの投与により軽減されたことから、ヘム代謝異常のうち、ヘムの減少あるいはアミノレブリン酸の増大が体内時計あるいは概日リズムの位相に影響をもたらしていることが示唆された。 また本ポルフィリン症マウスにおけるジアゼパムに対する感受性の違いにおいても、ヘムの投与により感受性の差異が消失することを明らかにした。 以上の知見は、グリセオフルビン誘発ポルフィリン症モデル動物が、ヘム代謝異常により神経精神症状をもたらしていることを証明する価値ある知見である。また、ヘム代謝と概日リズム異常との関連を動物個体レベルで示した初めての知見であり、今後、データを集積することにより、ヘムによる概日リズム調節メカニズムを詳細に明らかにすることにつながると考えられる。
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