研究課題/領域番号 |
18590129
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
黒川 昌彦 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (80186527)
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研究分担者 |
渡辺 渡 九州保健福祉大学, 薬学部, 助教授 (50399218)
清水 寛美 九州保健福祉大学, 薬学部, 助手 (80412831)
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キーワード | インフルエンザウイルス / サイトカイン / IL-12 / マクロファージ / IL-18 / IFN-γ |
研究概要 |
インフルエンザ感染は他の呼吸器感染を起こすウイルスとは異なり、高熱、頭痛等の全身症状が強いことが特徴である。特に、小児においては感染初期の解熱薬投与と急性脳炎の関係が疫学的に明らかにされている。インフルエンザ感染にともなう発熱、頭痛、脳炎等の全身症状は、感染により誘導されるサイトカインに由来すると考えられている。しかし、局所感染を起こすインフルエンザ感染でなぜ全身症状が誘発されるかについては未だ明らかではない。したがって、インフルエンザ感染による全身症状がどの様に起こるのかを明らかにすることにより、新たな視点からインフルエンザ感染に対する新薬の開発が可能となると考えられる。 これまでのマウスを用いたインフルエンザ感染病態の一連の解析結果から、感染早期に気道内でのIL-12の産生増強が、インフルエンザ感染症の軽症化のメカニズムであることを明らかにし、感染早期のIL-12のインフルエンザ感染における重要性を証明した。ウイルス感染における自然免疫の起点と考えられるToll-like receptorのシグナル伝達にもとつくIL-12の誘導、さらに、IL-12が細胞性免疫誘導の起点になることから、IL-12はインフルエンザ感染における自然免疫から獲得免疫系への一連の感染防御システムの鍵となる因子であると考えられる。本研究では、まずインフルエンザ感染マウス気道内のウイルス増殖量を指標として、IL-12、IL-18、IFN-γの気道内産生量を感染後経時的に検討した。その結果、IL-18、IFN-γは、ウイルス増殖にともない誘導されたが、IL-12はIL-18、IFN-γの誘導やウイルス量の増加に先行して誘導された。また、感染肺組織の免疫組織学的解析から、感染初期におけるIL-12産生細胞は、マクロファージであることが示唆された。したがって、インフルエンザウイルス感染における感染初期の防御的役割を担っている細胞としてマクロファージが重要な役割を担っていると考えられた。 インフルエンザウイルス感染による気道内サイトカインカスケードがマクロファージからのIL-12産生が基盤となると考えられるため、今後、マクロファージ様培養細胞を用いて、インフルエンザウイルス感染によるIL-12産生機序を明らかにしたい。
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