標的遺伝子の表現型の変化により突然変異を検出する方法は、測定結果にはバイアスがかかっていた。また、発現していない領域で起こる突然変異には適用できないという欠点もあり、表現型に頼らずに遺伝子突然変異を高感度かつ簡便に検出する手法の確立が望まれていた。 RMC法は、ランダムに起こる突然変異を特定の標的遺伝子を使わずに測定する方法である。大腸菌ゲノムDNAを5種類の制限酵素で37℃6時間処理した後、エタノール沈殿により精製する。標的配列を含む約400bpのプローブDNAを、dUTP、dATP、dGTP、dCTPの存在下、片方の5'末端をビオチン標識したプライマーセットを用いて、精製ゲノムDNAを鋳型にPCR法により増幅し、マイクロスピンカラム等を用いて精製。そのビオチン標識産物をストレプトアビジン結合磁気ビーズと混合して室温で3時間撹絆し、結合したものを磁気ビーズ標識プローブとして使用した。切断したゲノムDNA断片を標識プローブと37℃で16時間アニールさせ、形成された二本鎖DNAを磁石で沈降させて、標的DNAを選択的に回収。標的DNA+標識プローブの二本鎖DNAを制限酵素Taqlで処理し(65℃・1時間)、95℃1分で変性させて50℃3分で再アニールさせた。この操作を1回ごとにTaqlを追加しつつ10回繰り返してTaqlの認識配列に変異を持たない断片を、ウラシルDNAグリコシラーゼで37℃2時聞処理して標識プローブ(dUを含んでいる)を、それぞれ除去した。回収された標的DNAの数とTaqlで分解されなかった標的DNAの数を、定量的PCR法により測定した。 その結果、大腸菌DNAを標的とした際の検出感度は、従来のレポーター遺伝子を用いた変異検出法における自然突然変異頻度に及ばなかった。検出感度を改善するためには、不完全なTaql処理に起因する擬陽性反応の克服が重要な課題と考える。
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