研究課題/領域番号 |
18590135
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樋坂 章博 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80420206)
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研究分担者 |
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)
伊藤 晃成 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (30323405)
高田 龍平 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90376468)
菅原 寧彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (90313155)
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キーワード | 解析・評価 / モデル化 / 薬物動態 / 吸収 / トランスポーター |
研究概要 |
本研究の目的は、腸管に存在するトランスポーターおよび代謝酵素の寄与を評価可能な汎用性のある吸収動態モデルを構築し、発現系によるin vitro実験、実験動物における投与実験、さらに臨床試験の結果をこれに適用して検証し、最終的に吸収を統合的に評価し、また予測可能とすることである。本年度は解析の基礎となる吸収モデルの構築を行った。消化管吸収の解析には、消化管腔から壁細胞、毛細血管へと至る垂直方向と、胃、十二指腸、空腸、回腸、大腸へと至る水平方向の2方向の物質の移動速度を考慮する必要がある。特に消化管壁細胞におけるトランスポーターの輸送と代謝消失の評価には、それぞれの活性の分布とともにこの2方向の物質の流れの速さを規定することが本質的に重要である。しかし、現在までの消化管吸収モデルは、一般にコンパートメントモデルの延長であるために物質の移動が逐次的に規定され、特に水平方向について連続的で自然な物質移動を表現できるものは皆無であった。本研究では二次元拡散モデルを用いることで、2方向に対して自由で自然な濃度変化を表現可能とした。モデルの基礎方程式の2次元偏微分方程式を導出し、ラプラス変換解を得て数値的逆ラプラス変換により解を得るとともに、差分法で基礎方程式を直接解いて非線形方程式を含めて解を得るプログラムを開発し、研究代表者が開発した解析プログラムNappに組み込んだ。幾つかの生理的条件を考慮したパラメータを組み込んでシミュレーションを行い、代謝活性、トランスポーター活性が消化管初回通過効果に及ぼす影響について、興味深い知見を得た。今後はin vitro実験と動物実験により吸収指標薬を選択した上でモデルの妥当性を検証し、最終的に本方法論によるヒトの汎用性のある吸収動態モデルの構築を行う。
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