生命沽動の変動には一定の周期性を持ったものも多く、薬効発現の童要な変動要囚となりうる。本研究でCYP34遺伝子の周期的発現変動をマウスをモデルに解析した。昨年度、メス特異的P450であるマウスCyp3a41およびCyp3a44遺伝子の発現に性周期依存性、日内変動があることを観察した。また、分泌に日内変動がある副腎皮質ホルモンによる調節を調べたところ、両遺伝子がグルココルチコイドホルモンによる促進的調節を受けていることが明らかになり、Cyp3a41にはグルココルチコイド受容体(GR)、Cyp3a44にはGRに加えプレグナンX受容体が関与している事が明らかになった。そこで今年度はCyp3a41遺伝子に注目し、日内変動の機構解明を試みた。Cyp3a41遺伝子の5'上流領域約10kbまでを単離し、マウス肝細胞初代培養系を用いレポーター遺伝子アッセイを実施したところ、-163bpまでの領域に転写を促進するエレメントがあると予想された。その領域に日内変動が知られている転写因子の結合配列が存在するか調べたところ、HNF4αの推定結合配列が認められ、変異導入による転写活性の低下が観察された。また、その変異によってグルココルチコイドホルモン応答性も低下した。より生理的環境に近い条件で確認するため、in vivoレポーター遺伝子アッセイを行ったところ、転写活性はメスにのみ観察され、変異によってレポーター遺伝子活性はほぼ消失した。さらに、ChIPアッセイによりHNF4αの結合がメスで多い事が明らかになった。HNF4αとCYP3A41のmRNA発現は、共に夜間に日中の2倍程高くなり相関が観察されることを考え合わせると、Cyp3a41遺伝子発現の日内変動はHNF4α活性の変動に起因している可能性が示唆された。
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