研究課題
基盤研究(C)
生命活動の変動には一定の周期性を持ったものも多く、薬効発現の重要な変動要因となりうる。本研究ではCYP3A遺伝子の周期的発現変動をマウスをモデルに解析した。平成18年度にはメス特異的P450であるマウスCyp3a41およびCyp3a44遺伝子の発現に性周期依存性、日内変動があり、特にCyp3a41遺伝子の発現は発情前期から発情期に進むことで増加すること、日中より夜間に高いことを観察した。また、分泌に日内変動がある副腎皮質ホルモンによる調節を調べ、両遺伝子がグルココルチコイドホルモンによる促進的調節を受けていることが明らかにし、その調節はCyp3a41ではグルココルチコイド受容体(GR)、Cyp3a44ではGRに加えプレグナンX受容体(PXR)を介したものである事を明らかにした。平成19年度には、Cyp3a41遺伝子に注目し日内変動の機構解明を試みた。Cyp3a41遺伝子の5'上流領域約10kbまでを単離し、マウス肝細胞初代培養系を用いレポーター遺伝子アッセイを実施し、-163bpまでの領域に転写を促進するエレメントがあることを見いだした。その領域にはHNF4αの推定結合配列が認められ、変異導入による転写活性の低下、グルココルチコイドホルモンに対する応答性の低下が観察された。より生理的環境に近い条件で確認するためin vivoレポーター遺伝子アッセイを行い、転写活性はメスにのみ観察され変異によってレポーター遺伝子活性が消失することを明らかにした。ChIPアッセイにより、当該配列にHNF4αが結合し、結合量はメスで多い事も明らかになった。HNF4αmRNA発現は夜間に日中の2倍程高くなり、CYP3A41と相関が観察されることを考え合わせると、Cyp3a41遺伝子のメス特異的発現がHNF4αに依存するのみならず、発現の日内変動もHNF4α活性の変動に起因している可能性が示唆された。
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