研究課題/領域番号 |
18590143
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐々木 均 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 教授 (00170689)
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研究分担者 |
藤 秀人 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (90346809)
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キーワード | 遺伝子 / デリバリー / 疾病 / 肝臓 / カチオン性高分子 / ガラクトサミン / 肝炎 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
肝臓は遺伝子治療の標的臓器の一つであり、肝癌、肝硬変、劇症肝炎に対する遺伝子治療を目的に、発現効率の高いベクターの開発が進んでいる。遺伝子導入・発現効率は、遺伝子製剤の製剤学的な因子だけではなく、疾患などの生理学的な因子によっても大きく変動する。しかし、疾患や薬物が、遺伝子デリバリーに及ぼす影響を系統的に研究した報告はまだない。 (1)モデルpDNAとして、CMVプロモーターを有し、ホタルルシフェラーゼ(Luc)をコードしたpCMV-Lucを用い、ベクターとしては、ポリエチレンイミン(PEI)を用い、遺伝子複合体を形成させた。 (2)ウィルス性肝炎や劇症肝炎のモデルであるD-(+)-galactosamine(D-GalN)/lipopolysaccharides(LPS)誘発性肝障害マウスにおけるpDNA/PEI複合体の遺伝子導入・発現効率の影響を検討した。D-GalN/LPS処置マウスでは、pDNA/PEI複合体を6、12時間の肝障害の早期・障害期に静脈内投与した場合、コントロールマウスと比べて肺や脾臓でluciferase活性の低下が観察された。しかし、肝臓では肝障害の早期・障害期においても、luciferase活性の有意な上昇が認められた。この有意な上昇はD-GalN/LPS処置後24、48時間などの障害からの回復期においても引き続いて認められた。 (3)以上の結果は、遺伝子発現が、疾患の違いや病期で変動することを示すものであり、今後の遺伝子治療に対し重要な知見である。その他、生体膜のバリアー能の制御、局所における遺伝子製剤のデリバリー効果等に関する知見を得ている。 今後、以前の結果と本結果を蓄積し、定量的に解析することで、遺伝子治療の治療指針を作成する予定である。
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