研究課題/領域番号 |
18590144
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
有馬 英俊 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (50260964)
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研究分担者 |
甲斐 広文 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (30194658)
平山 文俊 崇城大学, 薬学部, 教授 (90094036)
上釜 兼人 崇城大学, 薬学部, 教授 (90040328)
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キーワード | siRNA / キャリア / デンドリマー / シクロデキストリン / 細胞選択的 |
研究概要 |
我々は、これまでα-シクロデキストリン/デンドリマー(α-CDE)結合体を独自に開発し、この結合体が遺伝子デリバリー用キャリアとして優れた性質を有することを明らかにしてきた。そこで本研究では次世代の夢の治療薬として期待されている siRNA や siRNA 発現ベクター(shpDNA)を標的細胞特異的かつ高効率にデリバリー可能で、かつ安全性に優れる新規キャリアの開発を企図して、糖修飾α-CDE結合体(Sug-α-CDE結合体)の構築を考案し、まずα-CDE自身のsiRNAおよびshpDNA キャリアとしての有用性について検討し、次にマンノースレセプター(Man-R)やアシアロ糖タンパク質レセプター(ASGP-R)に高い親和性を示すことが知られるマンノースおよびラクトースをα-CDE結合体に修飾した M-α-CDE 結合体およびL-α-CDE結合体を新たに構築し、これら新規結合体のRNAi効果、治療効果、体内動態、安全性などについてin vitro およびin vivoにて評価した。その結果、α-CDEは市販のsiRNA導入用キャリアに比べて、in vitroおよびin vivoにおいて極めて安全性に優れるとともに、それらと同等もしくはそれ以上の RNAi 効果を示すことを明らかにした。しかし、α-CDE結合体は shpDNA 用のキャリアとしては十分な性質を有していないことが示唆された。一方、M-α-CDE は細胞表面の Man-R への結合性が低く、細胞特異的な取込みは見られなかったが、L-α-CDEはASGP-R へ強く結合し、肝実質細胞へ特異的に取り込まれることが分かった。また、これらSug-α-CDE の細胞障害性は極めて低いことが示された。以上のことから、L-α-CDE は siRNA の肝実質細胞特異的なキャリアとしての高い可能性を有し、今後、肝炎ウイルスに対する siRNA と組み合わせることにより、ウイルス疾患に対する新たな治療薬として期待される。
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