研究課題/領域番号 |
18590150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
田辺 光男 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (20360026)
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研究分担者 |
小野 秀樹 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (00080200)
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キーワード | 神経因性疼痛 / 抗てんかん薬 / ギャバペンチン / プレギャバリン / ノルアドレナリン / シナプス伝達 / 青斑核 / グリシントランスポーター |
研究概要 |
抗てんかん薬ギャバペンチンやプレギャバリンの神経因性疼痛緩解作用と下行性ノルアドレナリン神経活性化の関係を明らかにするために、行動薬理学的(ギャバペンチンについては既に報告済)あるいは神経化学的に検討した。坐骨神経を部分結紮して作製する神経因性疼痛の動物モデル(Seltzerモデル)で、プレギャバリンはギャバペンチン同様に上位中枢に作用して熱痛覚過敏と機械アロディニアを緩解したが、ノルアドレナリンを枯渇させたり脊髄内にα_2-アドレナリン受容体阻害薬を前処置しておくと作用が消失することから、上位中枢に作用したプレギャバリンは下行性ノルアドレナリン神経を活性化して放出されたノルアドレナリンが脊髄内でα_2-アドレナリン受容体を介して神経因性疼痛を緩解することが明らかになった。さらに、脊髄内のモノアミンとその代謝物を測定し、上位中枢へ投与したギャバペンチンやプレギャバリンが神経結紮後にのみ脊髄内のノルアドレナリンの代謝回転を亢進させること、すなわちノルアドレナリンを放出させることが明らかとなった。 ノルアドレナリン神経の起始核である青斑核を含む脳幹スライスを作製し、青斑核ニューロンからホールセル記録してGABA性の抑制性シナプス電流(IPSCs)を記録した。ギャバペンチンはIPSCsに対して抑制作用を示し、paired-pulse ratioを増加させたことからシナプス前終末に作用することが明らかとなった。しかし、微小シナプス電流(mlPSCs)はその頻度も振幅も変化させなかったことから、GIBA性シナプス終末に作用してCa^<2+>のavailabilityを変化させる可能性が示された。すなわち、ギャバペンチンは青斑核ニューロンを抑制性入力の抑制によって脱抑制し、下行性ノルアドレナリン経路を活性化させることがシナプスレベルで示唆された。 また、グリシントランスポーター(Glyt)のサブタイプのひとつであるGlyt1を脊髄内で阻害すると神経因性疼痛や炎症性疼痛が緩解すること、さらに、神経因性疼痛で低下した海馬シナプス伝達長期増強現象をGlyt1阻害剤が回復させることを示した。
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