研究課題/領域番号 |
18590151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
林 弥生 金城学院大学, 薬学部, 教授 (00117847)
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研究分担者 |
湯浅 博昭 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (20191471)
井上 勝央 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (50315892)
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キーワード | プロバイオティクス / 消化管吸収 / 初回通過代謝 / 小腸 / Lactobacillus casei / ニフェジピン / CYP3A / ラット |
研究概要 |
プロバイオティクスのひとつで食品や医薬品として摂取されているLactobacillus casei(L.casei)が吸収障壁であり、免疫細胞の多くが集まる小腸からの薬物吸収に影響を及ぼす可能性を検証した。モデル薬物として腸管で初回通過代謝されることが知られているニフェジピンをラットに経口投与後の消化管吸収に及ぼすカゼイ菌経口投与(あらかじめカゼイ菌を毎朝1回10日間経口投与)の影響について検討した。対照として、カゼイ菌を投与していないラットについても同様の実験を行った。 経口投与後のニフェジピンのAUCには有意な増加が認められなかったが、最高血漿中濃度がカゼイ投与群では、対照群よりも約30%上昇し、吸収の増加が認められた。静脈内投与後のニフェジピンの血漿中濃度には、カゼイ投与の影響は認められなかった。 同様にカゼイ菌を連続経口投与したラットにおいて、小腸ループ内に投与後のニフェジピンの血漿中濃度は有意に上昇し、バイオアベイラビリティが大きくなる傾向が認められた。ニフェジピンの初回通過代謝には腸管でのCYP3A代謝の寄与が大きいことが明らかになっていることから、腸管でのCYP3A活性の変化がその原因となっている可能性が考えられる。 したがって、機序の詳細は不明であるが、L.caseiが小腸CYP3Aに影響を与え、ニフェジピンの消化管での初回通過代謝が低下したと考えられた。この影響は大きくはないものの、L.caseiの持つ多くのプロバイオティクス活性のひとつと考えられた。 プロバイオティクスは、薬物として投与されるのみならず、日常的に口にすることが多い特定機能性食品でもあるので、今後さらに消化管吸収がプロバイオティクスの影響を受ける薬物や栄養物質を明らにすることにより、医薬品の安全で有効な使用のために有益な指針の提供が期待される。
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