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2007 年度 実績報告書

危険信号仮説に基づく薬剤性肝障害発症機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18590153
研究機関千葉科学大学

研究代表者

桝渕 泰宏  千葉科学大学, 薬学部, 教授 (10209455)

キーワード薬剤性肝障害 / ハプテン / 危険信号仮説 / 大腸炎 / CYP3A2 / エンドトキシン / COX-2 / 共有結合
研究概要

薬剤性肝障害の危険信号としての腸管由来因子の関与を明らかにするため、前年度に引き続き、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の直腸投与によりラット大腸炎モデルを作製し、肝機能変化とその制御について検討した。TNBS投与ラットでは、大腸炎の発症に伴う肝障害の血清マーカー酵素(ALT、AST)の有意な上昇は認められなかったが、肝薬物代謝酵素CYP3A2の発現低下が見られ、P450の炎症性因子に対する感受性の高さが示された.肝CYP3A2の発現低下はポリミキシンB投与によるエンドトキシンの中和、ニメスリドによるCOX-2の阻害、クルクミンによるNF-kB阻害、塩化ガドリニウムによるマクロファージの抑制により防御された。このことから、腸管由来のエンドトキシン、プロスタグランジン、炎症性サイトカインが腸管由来の危険信号となりうることが示唆された。また、これらは肝非実質細胞を介して肝実質細胞に影響するものと考えられた。一方、ハプテン仮説-危険信号仮説の基盤となる、薬物の反応性代謝物生成とその意義に関して、肝障害惹起薬物であるジクロフェナックを用いて検討を行った。肝ミクロゾームを14C標識ジクロフェナックと酸化代謝条件下でインキュベートすることにより、ミクロゾームタンパクとの共有結合が観察された。得られた共有結合量は既知のジクロフェナック代謝能、特に5位水酸化の程度と相関した。マウス、ラット、サル、ヒト等での比較において、ラットが特に高い共有結合量を示したが、同時にラットでは反応性代謝物生成酵素そのものへの結合が多くを占めることが明らかとなった。実際ラットのジクロフェナック肝障害感受性は必ずしも高いわけでなく、結合の絶対量のみでは肝障害感受性は決定されないと考えられた。以上の検討より、薬剤性肝障害には薬物によって異なる特定のタンパクへの共有結合と、今回明らかにした腸管由来因子をはじめとする肝障害増幅因子によって、個体それぞれで重症度の異なる肝障害を引き起こすものと結論できる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Down-regulation of hepatic cytochrome P450 enzymes in rats with trinitrobenzene sulfonic acid-induced colitis2008

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Masubuchi
    • 雑誌名

      Drug Metabolism and Disposition 36

      ページ: 597-603

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Down-regulation of hepatic transporters for BSP in rats with indomethacin-induced intestinal injury2007

    • 著者名/発表者名
      Nobuhiro Fujiyama
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical bulletin 30

      ページ: 556-561

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 査読あり
  • [学会発表] Roles of covalent adduct of reactive metabolite and other factors indiclofenac-induced hepatotoxicitv2007

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Masubuchi
    • 学会等名
      11th International Congress of Toxicology
    • 発表場所
      Montreal,Canada
    • 年月日
      20070700

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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