研究課題
本研究は、胎盤関門における異物認識の分子基盤となるトランスポーターを中心に、胎盤関門の異物認識の全容解明を目的とした。平成19年度に得られた主な成果は以下のとおりである。胎盤由来細胞株(TR-TBT)を用いて[^3H]ウリジンおよび[^3H]アデノシン取り込みを評価した結果、 Na^+非依存性、NBMPR感受性で、速度論的解析よりKm値は約20μMであることが明らかとなった。TR-TBT細胞のヌクレオシド取り込みクリアランスは30-60μL/mg protein/minで非常に高い活性を持つことが示された。トランスポーター遺伝子発現系を用いた検討も行ったところ同様なKm値が得られた。これらのことから、ヌクレオシドトランスポーターENT1及びENT2の寄与が考えられた。薬物間相互作用の可能性について検討した結果、これらの取り込みはシタラビン、ビダラビン、ジドブジン、ミゾリビン、カフェイン及びアミトリプチリンで用量依存的に阻害されたが、各遊離形薬物の臨床血中濃度においては内因性ヌクレオシドの阻害は起こらないものと考えられた。さらに胎盤の抗ウイルス薬ジドブジンに対する認識を明らかにする目的でTR-TBT細胞を用いて[^3H]ジドブジン取り込みの解析を行ったところ、Na^+非依存性で飽和性(Km値約16μM)であることが明らかとなったが、NBMPR非感受性であり、また有機アニオントランスポーターのOATおよびOATP、有機カチオントランスポーターOCTなどの既存のトランスポーターに対する阻害効果も見られないことから、未知の輸送系の存在が示唆された。
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