研究課題
基盤研究(C)
本研究は、細胞周期調節性薬物としてのVK_3の可能性を探るため、ヒト肝癌細胞株HepG2を用いて抗腫瘍効果を中心に細胞周期制御系に関連する生化学的検討を加えた。VK_3単独でのHepG2に対する細胞毒性の評価とその発現機序としてS期及びG_2/M期細胞の変化に着目しフローサイトメトリーを用いて細胞周期制御系に対するメカニズムの検討を行なった結果、VK_3は3μMから30μMで濃度依存的にS期細胞の割合を有意に減少させ、G_2/M期細胞の割合を有意に増加させることを明らかとした。この現象を生化学的に検討する目的で、VK_3の細胞周期調節蛋白への影響を精査するために、ヒト肝癌細胞株HepG2にVK_3を添加し、不活性型である高リン酸化Cdk1、Cdk2及びCdk4の発現量およびCyclin A、Cyclin B、Cyclin Dを測定した結果、VK_310μM以上でCdk1、Cdk2、Cdk4の発現量を増加することが確認できた。また、VK_3はCyclin Bの発現量を10μMから減少させ、またCyclin Dの発現量を30μMから減少させたが、Cyclin Dの発現量の減少はG_1期での停滞を惹起してS期細胞を減少させ、またCyclin Bの発現量の減少はM期の開始を阻害しG_2/M期細胞の増加を引き起こしたと考えられる。本研究では、さらにVE_3の臨床応用を目的とし、低用量のどタミンK_3とG_2期特異的制癌剤であるエトポシドとの併用効果に関する検討を行った。その結果、Etoposideと併用することによりHepG2に対する抗腫瘍効果が相乗的に増強することを確認した。本研究により、肝癌に対してVK_3を臨床応用する際に、副作用レベル以下の低用量のVK_3を投与しG_2期細胞を増加させた上で、G_2期特異的制癌剤を併用することにより抗腫瘍効果を増強させるという新しい化学療法レジメンの可能性を提供した。
すべて 2007 2006
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