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2007 年度 実績報告書

CDC25フォスファターゼを阻害するビタミンK3誘導体の新規抗癌薬としての評価

研究課題

研究課題/領域番号 18590161
研究機関共立薬科大学

研究代表者

松山 賢治  共立薬科大学, 薬学部, 教授 (00117251)

研究分担者 松野 純男  武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (30299094)
キーワードビタミンK3 / CDC25フォスファターゼ / 細胞周期調節 / 新規抗癌剤
研究概要

ビタミンK3は、投与量依存的に肝癌細胞(Hep G2)に障害を与え、そのIC50は13.7μMと既存の抗癌剤に比較したらやや低い殺細胞効果を示した。そのメカニズムとして別冊に添付したアクセプト英文論文にも記した如く、細胞周期のS期を短縮し、G2/M期を投与量依存的に延長するという注目すべき知見を得た。生化学的検討の結果、ビタミンK3は、cyclinA/cdk1とcyclinA/cdk2コンプレックスの増加を惹起するとともに、cyclinB/cdk1に関しては減少を起し、その結果、G2/M期の延長をもたらすとの結論を得た。G2/M期が有意に延長するという知見は、他のG2/M期に働く抗癌薬との併用に於いて相乗効果をもたらすことが期待され、その点について、G2/M期に働く抗癌剤であるエトポシドとビタミンK3の併用効果を検討した結果、ビタミンK3はエトポシドの効果を相乗的に増強することが判明した。一方、S期に働く、イリノテカンについては、ビタミンK3のS期を短縮する効果により、相乗効果は認められなかった(Biol.Pharm.Bull,31(6)in press)。さらにビタミンK3の臨床応用を目指して、毒性を示さない濃度のVK3とビタミンC(VC)を併用することで、大腸癌細胞株に対して短時間から相乗的な細胞毒性を示し、その細胞毒性はVK3単独処理とは異なり特徴的な形態変化を伴うことを明らかにした。その際、細胞毒性を引き起こす要因には活性酸素種(ROS;reactive oxygen species)が関与していることが示唆され、 VK3/VC併用による細胞毒性機序にはVK3単独による細胞毒性機序と同様に、apoptosisが関与していることが示唆された。本研究によりVK3/VC併用も、また、大腸癌患者に対する抗癌剤としての使用を期待できる結果となった。また、生体の必須物質であり、経口投与可能なvitamin類を使用していることから、詳細な作用機序についてのさらなる検討を行うことで、重篤な副作用を回避でき、利便性の高い新規の薬物療法としての使用が期待でき、今後、この点に関し、臨床研究を行う必要があると考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] An attempt to evaluate the effect of vitamin K3 using as an enhancer of anticancer agents2008

    • 著者名/発表者名
      Sumio Matzno, Yuka Yamagchi, Takeshi Akiyoshi, Toshikatsu Nakabayashi & Kenji M
    • 雑誌名

      Biol. Pharm. Bull. 31(6)(In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Flow Cytometric Evaluation of Synergistic Proapoptotiv Effects of Statins and Clofibrates in IM-9 Human Lymphoblas2007

    • 著者名/発表者名
      Naoki Tomiyama, Noriko Yasuda, Chihiro Iwano, Sumio matsuno, Kenji Matsuyama
    • 雑誌名

      Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology 34(9)

      ページ: 876-880

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Consideration on Prevention of Phlebitis and Venous Pain from Intravenous Prostaglandin E1 Administration by Adjusting Solution pH: In Vitro Manipulations affeo2007

    • 著者名/発表者名
      Emiko Kohno, Mayumi Nishikata, Noboru Okamura, and Kenji Matsuyama
    • 雑誌名

      YAKUGAKU ZASSHI 128(1)

      ページ: 111-115

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト結腸上皮癌細胞株HT-29に対するVitamin K3とVitamin Cの併用効果2008

    • 著者名/発表者名
      原田 紗世子, 秋好 健志, 金星 仁, 松野 純男, 松山 賢治, 岡村 昇
    • 学会等名
      日本薬学会第128回総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2008-03-27
  • [学会発表] 乳線癌細胞MCF-7におけるVitamin K3のG2/M期停滞2008

    • 著者名/発表者名
      宮本 紅喜, 秋好 健志, 松野 純男, 松山 賢治, 岡村 昇
    • 学会等名
      日本薬学会第128回総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2008-03-27

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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