研究課題/領域番号 |
18590163
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
川西 徹 国立医薬品食品衛生研究所, 薬品部, 部長 (40124383)
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研究分担者 |
石井 明子 (渡部 明子) 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (50291117)
鈴木 琢雄 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 研究員 (10415466)
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キーワード | Fcドメイン / タンパク質 / 医薬品 / 受容体 |
研究概要 |
【目的】Fcドメイン含有タンパク質の血中濃度の維持において主要な役割を果たすと考えられるFc受容体FcRnについて、タンパク質性医薬品の体内動態制御における役割を明らかにするため、(1)Fcドメインを持つタンパク質性医薬品とFcRnの結合親和性、および、(2)FcRn発現変動に関する検討を行った。 【方法】(1)CHO細胞で発現させたヒトFcRn可溶性領域を精製し、表面プラズモン共鳴でFcドメイン含有タンパク質との親和性を評価する方法を構築して解析を行った。(2)生体内でFcRnを介したタンパク質リサイクリングに関与する主要な細胞であると考えられている血管内皮細胞を用いて、サイトカイン等の刺激に応じたFcRnの発現変動をウエスタンブロットにより解析した。 【結果と考察】(1)Fcドメインを持つタンパク質性医薬品として、ヒト抗体(アダリムマブ)、ヒト化抗体(ダクリズマブ、オマリズマブ)、キメラ型抗体(インフリキシマブ)、Fc融合タンパク質(エタネルセプト、アレファセプト)について、FcRnとの結合親和性の比較を行った結果、血中半減期とFcRn結合親和性に相関が認められ、これらの医薬品の血中濃度維持においてFcRnとの相互作用が重要であることが示唆された。また、これらの医薬品では全てヒトIgG1由来のFcドメインを持ちながらもFcRnとの親和性が異なっていたことから、Fc部分のアミノ酸配列以外の要素がFcRnとの親和性に影響していると考えられた。(2)ヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞では、炎症性サイトカイン(TNFα、IL-1β、IL-6)によりFcRnの発現が抑制された。Fcドメインを持つタンパク質性医薬品は炎症性サイトカインの関わる疾患の治療に用いられることが少なくないが、これらのサイトカイン濃度が上昇している状態ではFcRnを介したFcドメイン含有タンパク質の血中濃度維持機能が低下している可能性が考えられる。
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