鳥類の大脳に存在すると思われるグルタミン酸作動性神経細胞を確認する目的で、鶏と鳩のグルタミン酸代謝関連のmRNAの解析と、それが存在している神経細胞を同定するためにin situハイブリダイゼーションの研究計画を立案した。解析したmRNAは鶏と鳩のglutamate transporter(GLT)、vesicular glutamate transporter(vGLUT)、excitatory amino acid transporter(EAAC)およびglutamate receptor 1(GluP-1)である。EAACを除き、鶏と鳩とも3種類の遺伝子は全長の91〜100%を解析し終えた。EAACもin situハイブリダイゼーションに必要な部分配列はすでに解析が終了している。遺伝子の局在を調べるin situハイブリダイゼーションは、現在プローブの至適濃度と特異性を確認している段階であり、合わせて陽性対照としてラット大脳を用いて、4種類の遺伝子発現を検討している最中である。現在一部の遺伝子で、特異的と思われる遺伝子発現が鳩の大脳で得られつつあり、この発現が神経細胞なのかグリア細胞なのか検討が必要である。今後は残りの遺伝子の全長を解析するとともに、in situハイブリダイゼーションにおいて鳥類と哺乳類の遺伝子局在を比較すること、ならびに免疫組織化学を新たに導入することにより、鳥類で特異的なグルタミン酸作動性神経細胞を同定していく予定である。
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