研究課題/領域番号 |
18590168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石橋 誠 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30232341)
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研究分担者 |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
三浦 岳 京都大学, 医学研究科, 助手 (10324617)
才津 浩智 京都大学, 医学研究科, 助手 (40402838)
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キーワード | 前脳 / 発現制御 / 形態形成 / Fgf / Sonic hedgehog / Lhx |
研究概要 |
本研究においては、脊椎動物前脳(終脳・間脳)の形態形成分子機構を明らかにするために、主に遺伝子操作を行ったマウスおよびニワトリ胚の解析やteratogenに暴露されたマウス胚、奇形胎児の観察を進めた。まず、位置情報・細胞増殖・生存を制御する分泌因子Shhの終脳背側部における発現部位を調べた。この発現についてはこれまでRT-PCRによる報告があるのみで詳しい局在は不明であった。我々は免疫組織化学法でSHHタンパクが発生初期の終脳背側部神経前駆細胞、その後皮質原基(皮質板)、さらにその後、中間層に陽性細胞がみられるようになることを明らかにした。次にこれらの部位に局在するSHHの役割を調べるため、終脳背側部特異的にShh遺伝子をノックアウトしたマウスを作成した。このマウスにおいては終脳の大きさが野生型よりも有意に減少していた。終脳が小さくなる原因を調べるため、増殖能について調べたところ、胎生12-13日において増殖能の低下がみられた。また細胞死の増加もみられた。この時期に産生されるニューロンについても数の減少が観察された。ところが胎生14-15日にはこの異常は観察されない。この時期においてはノックアウトマウスにおいてもSHHの染色像が中間層に見られ、これらは腹側部由来のinterneuronと考えられた。すなわち14-15日にはこのinterneuronが供給するSHHによって神経前駆細胞の増殖・生存・分化が制御されいると思われる。ニワトリ胚間脳においていくつかのホメオボックス型遺伝子の発現が背腹軸に沿って制御されていると考えられたので、この部位に腹側化シグナルとしてShh、背側化シグナルとしてWnt, Fgfを異所性発現させたところ、それら遺伝子の発現パターンに変化が見られた。この結果は既に論文にして投稿済みである。エタノールに暴露された胎児は全前脳胞症を示す頻度が上昇する。この時、ヒトの全前脳胞症の原因遺伝子として知られるShhの発現がマウス胎児においても変化することを見出し、形態学的解析と共に報告した。
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