研究概要 |
本年度において、歯原性上皮細胞培養下、Thymosin beta (Tb)4遺伝子発現ついてノックダウン法を用いて機能解析を行い、歯原性上皮細胞におけるTb4の役割の一端を明らかにした。オリゴヌクレオチドプローブを用いてアンチセンス法によりTb4の翻訳段階で特異的にノックダウンしTb4の機能解析を行った。抑制実験後、培養細胞よりtotal RNAを抽出し、Real-time PCRによるTb4,Matrix metalloproteinase 2/9(MMP-2/-9),Hepatocyte growth factor receptor (c-Met),Dentin sialophosphoprotein (DSPP),Cytokeratin (CK)14,Dentinmarixprotein (DMP)1,amelogenin (AMGN)およびEnamelin (ENAM)の定量解析解析を行った。 以前、コントロールとアンチセンス処理した下顎の半定量的解析を行った結果、Tb4,MMP-2/-9いずれも発現量の低下がみられた。細胞を用いた今回の検索でも、Tb4およびMMP-2/-9に有意な発現低下をみとめた。さらに、DSPP, CK14,DMP1,AMGNならびにENAMにも有意な発現低がみられた。今回の結果より、歯胚上皮細胞において、Tb4がMMP-2/-9の発現に関与していることが示唆され、過去の報告から、HGFによるTb4のup-regulateがMMP-2の発現に関与していることや、HGFがMMP-9の転写活性に関与していることから、Tb4を介したMMP-2/-9の発現調節機構が、歯胚上皮基底膜のリモデリングに関与しているものと考える。現在、この結果をまとめて投稿準備中である。
|