研究課題/領域番号 |
18590170
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三浦 真弘 大分大学, 医学部, 講師 (50199957)
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研究分担者 |
紀 瑞成 大分大学, 医学部, 助教 (60305034)
加藤 征治 大分大学, 本部, 理事 (60034956)
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キーワード | 大腸壁内リンパ管 / 経リンパ吸収路 / リンパ行性転移 / 免疫・酵素組織化学 / 剥離伸展組織試料 / 脈管外通液路 / CH40 / 癌腫細胞 |
研究概要 |
平成19年度、申請研究課題に関して計画した、以下の4つの未解決の問題について解析した。 1)癌腫リンパ行性転移機構に関わる大腸壁内リンパ管系の微細構築とそのリンパ流路の解明(特に"粘膜内癌"に関連する粘膜固有層内リンパ管系の構造と吸収能の解明を中心として):粘膜内リンパ管については、ヒト試料においても固有層(LPM)域にリンパ管網の存在が免疫・酵素組織化学的解析において確認された。粘膜内リンパ管は結腸領域差なく表層膠原線維板に接する位置から盲端部として起始することから粘膜内癌のリンパ行性転移の可能性が高いことが示唆された。CH40粘膜上皮内注入実験では、炭粒子の経リンパ吸収は極めて速い一方で、吸収経路はLPM内の狭い領域を通過するのみで、粘膜内において側方向へのリンパ交通は乏しいと判断された。従って、リンパ管が粗な結腸域では癌細胞がLPMリンパ管に仮に近接したとしてもリンパ流の観点から転移しにくい特徴を有することも推測された。因みにLPM浅層リンパ管網は上行結腸前半・下行結腸後半・S状結腸において箸しく発達した。 2)ヒト大腸における起始リンパ管の形態学的特徴と実験動物における癌細胞との接触様式の解明:歯状線(DL)より中枢側の直腸膨大部では、通常結腸と同様のLPMリンパ管網の分布様式を呈した。リンパ流路はDLを分水嶺として側方向では(1)直腸側・(2)肛門側、縦方向では(3)内肛門括約筋側間に向かう3方向のリンパ系に注いだ。特にDL粘膜下層には側方向に注ぐリンパ管網(サル)の存在が確認された。 3)上皮下結合組織層における脈管外通液路(プレリンパチャンネル)としての構造的特徴の電顕的解析:化学的消化を施した試料のSEM解析において、上皮下基底膜と膠原線維板に10μ前後の小孔(pore)の存在が確認された。上皮層とLPMとの間には僅かな交通路が存在するが、孤立リンパ小節周辺ではリンパ管網の急激な発達とともに上記小孔の径の増大と数の増大が見られた。また、LPMリンパ管網の発達と小孔との関連性については、今後さらに詳細に検索する予定である。 4)大腸粘膜固有層から壁外リンパ管系に至る吸収-排導経路の全容の解明:ヒト・ニホンザルともにLPM浅層水平リンパ管網または単一盲端リンパ管として起発した。両起始様式とも基底膜(BM)直下から始まり、何れもLPM深層に単一枝として下降したのち、粘膜筋板(MM)直上の発達した水平方向のリンパ管網に合-した。LPM内の浅層リンパ管は細く弁構造は認められなかったが、MMを貫通し、粘膜下層に出ると100μを超える大きく発達したリンパ管網にすべて合流した。固有筋層には特定の場所に漿膜下リンパ管網と壁外リンパ管系への通路が存在した。
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