本研究は肝臓の初期発生過程における肝芽細胞分化と肝芽組織形成の分子機構の一端を、組織化学的・微細形態学的手法を用いた解析により明らかにすることを目的とする。胚胎における肝臓の前駆組織は、心臓中胚葉の影響下で前腸の腹側内胚葉上皮より分化した肝芽細胞によって形成される。肝芽細胞に分化した内胚葉上皮細胞は、横中隔間充織に侵入し、横中隔内に肝芽組織を形成するが、その過程でシート状の構造を改変し、基底膜構造を一部破壊して横中隔内に侵入し、細胞遊走を行うといった、上皮-間葉移行現象に類似する現象が起こっていることが推測されている。本研究では、肝芽細胞が横中隔間充織に侵入・遊走し、上皮組織である肝芽組織を再構築する過程を解析する。
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