研究概要 |
前立腺癌等に対するホルモン治療薬として実用化されているLHRH誘導体は持続的投与することで性腺刺激ホルモン分泌を強く抑制する。本研究では、このLHRH誘導体の持続投与によって生じる性腺刺激ホルモン産生細胞の変化を微細構造と機能の両面から検討しており、平成18年度には、同剤がアゴニスト作用とLHRH受容体の不応化誘導の相乗作用で同細胞からの性腺刺激ホルモン分泌を強力かつ効率的に抑制することを明らかにした。 この研究成果を踏まえて、平成19年度には、Leuprorelin徐放性製剤を単回投与した場合と反復投与した場合を比較し、同剤の性腺刺激ホルモン産生細胞の微細構造に対する影響が可逆的であるのかどうかを検討した。その結果、徐放性製剤中のLeuprorelinが枯渇する28日ごとに同剤を2回追加投与し初回投与から84日後に標本を採取した群(反復投与群)では、初回投与から28日後に標本採取した群と同様に、分泌顆粒の体積率、平均直径、および分泌顆粒の抗LH抗体による標識率は対照群と比較して有意に低かった。一方、同剤初回投与から追加投与せずに84日後に標本を採取した群(単回投与群)では、分泌顆粒の体積率、平均直径、および分泌顆粒の抗LH抗体による標識率は対照群と同程度に回復した。以上の所見より、LHRHアゴニストであるLeuprorelinが性腺刺激ホルモン産生細胞の微細構造に与える影響は可逆的であることが示された。以上の研究結果は、研究発表欄に記載した原著論文(Arch.Histol.Cytol.70:79-93,2007)にまとめ報告した。
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