研究概要 |
1.骨格筋膜融合タンパクの解析:膜融合にかかわるタンパクのうち,VAMP2は成熟骨格筋組織では筋衛星細胞に多く発現するが,骨格筋細胞については長指伸筋(EDL)ではVAMP2をほとんど発現しないが,ヒラメ筋(SOL)では核周辺部にVAMP2を発現し,糖輸送体GLUT4と共分布した。その他に,VAMP2は神経終末にも分布していた。筋発生過程では,胎生12日(E12)で体節の筋芽細胞にVAMP2が発現していた。E16では,多核の筋管細胞に陽性であった。骨格筋組織以外では,神経線維(E12以降)と心筋(E10以降)に分布していた。VAMP5の骨格筋における分布はマウスのEDLでは,細胞内全体に分布していたが,SOLではほとんど検出されなかった。EDLでのVAMP5の細胞内分布と,アクチン線維やT管の分布とを比較したところ,VAMP5はA帯付近に局在することが分かった。 2.β-シネミンのノックアウトマウスの作成:ターゲッティングベクターを構築,ES細胞に導入し,全320クローン中1クローンの相同組み換え体ES細胞を取得した。得られた細胞をマウス受精卵に注入し,3匹のキメラマウスを得た。しかしながら,キメラリティが低く,F1マウスを得るには至らなかった。得られた相同組み換え体ES細胞が少なかったことや,キメラリティの高いキメラマウスが得られないことから,新たなターゲッティングベクターを構築して,2度目のES細胞スクリーニングをおこなった。しかし810個のES細胞クローンをスクリーニングしたが,相同組み換え体ES細胞を新たに取得するにはいたらなかった。そこで最初に得られたES細胞を用いて,2度目のインジョクションを行い,8匹のキメラマウスを得て交配を進めた結果,数匹のヘテロマウスを得ることができた。現在,ホモのノックアウトマウスを作成するため,ヘテロマウスの交配をおこなっている。
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