研究概要 |
本研究では、ヒト骨芽細包の培養系を用いて、細胞の運動や移動などの動的挙動を客観的に解析し、骨芽細胞の生体親和性に関する新しい評価方法を確立することを目的とする。平成19年度は主に以下の項目に関して研究を行い成果をあげた。 平成18年度の実績から、ヒト骨芽細胞の一次培養系(市販のもの)は株化された骨芽細胞とは異なる挙動を示すことが明らかとなっていた。具体的には、株化された骨芽細胞(Saos-2)で有効であった"in vitrowound"法(Li,Kobayashi, et. al.,2006)では、コンフルエントになった一次培養系の細胞の層が剥離してしまい解析できなかった。そこで、細胞運動の評価が法をいくつか試し、一次培養系の細胞に適したものを見いだした。実際には、細胞をまきこむ際にプラスティックのディッシュの中央にガラス製のスライドグラスをおき、それを鉛の重りで押さえておくと、スライドグラスを載せた部分では細胞がディッシュに接着せず、後にスライドグラスを取り除くことで、細胞が巻き込まれていない四角形の領域を作ることができた。この領域に侵入する細胞の移動速度を計測することにより、一次培養系の細胞でも再現性良く細胞の移動度を解析することが可能になった。 この他、本研究で培われた細胞培養や免疫細胞化学の技術や経験を応用して、本研究以外の共同研究でも成果をあげている(Terashita, et. al.,2007、Hosoda, et. al.,2007,Shigemoto, et. al.,in press)。
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