研究課題
基盤研究(C)
上皮細胞のタイト結合(TJ)をフリーズフラクチャー法で観察すると、膜内粒子から成るTJストランドがP面に、対応する溝がE面に見られるが、その溝には膜内粒子はほとんど見られない(P型ストランド)。一方、末梢の細静脈の内皮細胞のTJでは、膜内粒子がP面ではなくE面の溝に鎖状に並んでいる(E型ストランド)。TJを構成する膜蛋白質であるclaudinは、N末端とC末端を細胞質に向け、細胞膜を4回貫通する蛋白で、マウスでは現在までに24種類のisoformが同定されている。TJの形態と機能は、発現しているclaudin分子の組み合わせと比率で決定されると考えられている。claudin-1のC末端にmycタグを付与してMDCK II細胞で発現すると、細胞側面膜に異所性のTJストランドを形成する。本来P型ストランドを形成するclaudin-1の細胞外第2ループ(ECL2)に変異を加えたmECL2のC末端にmycタグを付与したmECL2-mycをMDCK II細胞で発現すると、細胞側面膜にE型ストランドを形成した。また、claudin-10-mycはE型ストランドを細胞側面膜に形成した。一方、N末端にタグを付与したEGFP・claudin-1は、異所性のTJストランドは形成しないで、本来のTJに局在した。本研究では、EGFIP-mECL2およびclaudin-10を、P型ストランドを形成するMDCK I細胞にて発現し、TJの形態と機能がどのように変化するかを調べることを目的とする。平成18年度は予定通り、EGFP-mECL2およびclaudin-10の発現ベクターを構築し、これらを安定に発現する細胞株を取得することができた。今後、これらの細胞を用いてタイト結合の形態と機能の解析をフリーズフラクチャー法や電気抵抗値などを指標として調べる予定である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Mol Reprod Dev 73
ページ: 929-936
J Clin Invest 116
ページ: 2610-2621