研究課題/領域番号 |
18590189
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
和泉 伸一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40264246)
|
研究分担者 |
小守 壽文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00252677)
宮崎 敏博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10174161)
|
キーワード | 転写因子 / 核 / 分化 / 細胞化学 / Runx2 / 遺伝子 / 骨芽細胞 / トランスジェニック |
研究概要 |
本研究ではRunx2の核内発布とRunx2遺伝子の転写活性の変化および細胞の分化との関係を分子細胞化学的に解析してきた。 1.ColII-Akt-Tg-GFPトランスジェニック(Tg)胎児マウスの軟骨では、Runx2は軟骨膜の未分化な間葉系細胞および増殖軟骨の細胞の核に弱く分布し始め、分化途中の成熟軟骨細胞の核小体を除く核の染色質に強く分布し、その後の分化が進んだ肥大軟骨細胞では核の分布は減弱した。AktによるRunx2のDNA結合変化と核内分布、細胞分化との関係が示唆された。 2.Runx2-Tgの新生児マウスでは、Runx2とβカテンは脛骨の骨端軟骨周囲軟骨膜の未分化間葉系細胞の核に分布し始め、その後Runx2は分化中の骨芽細胞の核小体を除く核染色質に分布し、骨細胞では陰性であった。一方、Runx2-/-のE18.5胎児マウスでは、脛骨の骨端軟骨周囲軟骨膜の未分化間葉系細胞の核にはβカテニンおよびオステリックスは陰性であった。骨芽細胞への分化にRunx2とβカテニンとの核内分布の密接な関与が示唆された。 3.Runx2/GFPを発現するアデノウイルスベクターをC3H10T1/2多能性未分化線維芽細胞に導入すると、Runx2を核染色質に発現している細胞の突起は減少・短縮し、アクチシは染色が減少し、βカテニンは細胞膜の分布から細胞質内に凝集した。Runx2の核染色質分布は細胞分化誘導と密接に関係していることが示唆された。 4.Runx2の核内分布を人為的に変動させるため、Runx2とferritinの融合蛋白を発現するアデノウイルスベクターの作製は検討中である。また、核内分布を決定するRunx2のC端側アミノ酸配列を検索するためのC末端を種々に欠失させた変異体アデノウイルスベクターを設計中である。
|