研究課題/領域番号 |
18590190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
菅沼 龍夫 宮崎大学, 医学部, 教授 (60115350)
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研究分担者 |
澤口 朗 宮崎大学, 医学部, 助教授 (30336292)
井手 惣幸 宮崎大学, 医学部, 教務職員 (20244212)
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キーワード | 高圧凍結技法 / 胃粘膜 / 粘液 / 電子顕微鏡 / 組織化学 / 壁細胞 / 単離胃粘膜 / ラット |
研究概要 |
1.胃酸分泌に与る胃底腺壁細胞は、摂食からしばらく続く酸分泌刺激状態と食間から食前にかけての休止状態を繰り返すが、酸分泌刺激状態から休止状態へ移行する「酸分泌後回復期」の壁細胞動態に関しては、再現性の高い実験モデルがなく不明な点が多い。我々は近年、独自に開発した「ラット単離胃粘膜における酸分泌後回復期壁細胞実験モデル」に高圧凍結技法を施して試料を作製後、回復期壁細胞の形態変化ならびにプロトンポンプの局在変化を解析した。その結果、酸分泌後回復期の壁細胞は頂上膜を細胞内に回収後、いわゆるオートファゴソームとは異なる「特異な多重膜構造」を形成し、頂上膜に局在するプロトンポンプ(酸分泌に関与)を回収・処理しながら酸分泌休止状態へ回復することが示唆された。現在、臨床で汎用される胃酸分泌抑制剤:H2レセプター阻害剤とプロポンプインヒビターを用いた応用研究を進めている。 2.高圧凍結技法がもたらす深い凍結深度によって、ラット胃底腺腔内の粘液・漿液を保持した試料作製が可能となる利点を活かし、ラット胃幽門部粘液ゲル層における胃粘液流動動態の解明に取り組んだ。光顕試料をイソペンタン・プロパン浸漬凍結、電顕試料を高圧凍結技法により作製し組織化学的解析を行った結果、胃底腺表層粘液を特異的に標識するRGM21抗体と副細胞型粘液を標識するGriffonia Simplicifolia agglutinin-(GSA)-IIレクチンを用いた二重蛍光標識観察により、両者が幽門部粘液ゲル層においても界面を保持して多重層状構造をなすことが確認された。また電顕レベルでは、主細胞由来の漿液成分を含み、過マンガン酸カリウム酸化-ウラン鉛染色により高電子密度を呈するGSA-II陽性部位が、胃体部粘液ゲル層では帯状を呈するのに対し、幽門部粘液ゲル層では塊状を呈して局在することが明らかとなった。現在、さらに詳細な解析を進めている。
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