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反芻動物耳下腺は重炭酸イオンに富む大量の唾液を静止時においても分泌するが、その分子メカニズムは不明のままである。反芻動物耳下腺細胞に存在する幾つかのイオンチャネルがCa^<2+>やMg^<2+>などの細胞内2価陽イオンにより調節されている可能性があることから、静止時におけるこれら2価陽イオンの細胞内レベル維持が持続的重炭酸イオン分泌においても重要な役割を果たしているのかもしれない。本研究では細胞外から細胞内への2価陽イオン流入経路を形成することが知られているTRPM(Transient Receptor Potential Melastatin)サブファミリーに属するTRPM6およびTRPM7に注目し、持続的な上皮性重炭酸イオン分泌との関連を視野にいれた基礎的研究を行った。電気生理学および分子生物学的手法を用いた実験により、(1)強制発現系で報告されているTRPM6やTRPM7に特徴的な細胞内Mg^<2+>感受性電流がウシ耳下腺腺房細胞で観察されること、(2)TRPM7およびTRPM6のmRNAの発現がウシ耳下腺に認められること、(3)クローニングしたウシ耳下腺由来TRPM7が機能的であることなどが明らかになった。これらの基礎的研究結果はウシ耳下腺腺房細胞に存在する内因性電流の分子基盤や細胞内調節機構だけでなく、TRPM6およびTRPM7の上皮性重炭酸イオン分泌機構における生理的役割の解明に向けた今後の研究に有用であると考えられる。
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