研究概要 |
Prostaglandin F_<2α>及びThromboxane A_2の心拍促進効果について,酵素処理によって単離したモルモット洞房結節細胞を用いて解析し,下記の知見を得た. 1.Prostaglandin F_<2α>及びThromboxane A_2が洞房結節細胞の発火頻度を用量依存的に促進することを見いだした.促進作用は,自発性活動電位の緩徐脱分極相の急峻化を伴っており,ペースメーカー電流の活性化が示唆された.また,Thromboxane A_2による陽性変時作用はTP受容体の阻害薬で遮断されることから,受容体を介する細胞内情報伝達系の関与が示唆された. 2.Prostaglandin F_<2α>及びThromboxane A_2は深い膜電位で活性化される電位依存性Caチャネルを選択的に促進した.促進効果について全細胞記録および単一チャネル電流記録をおこなったところ,T型Ca^<2+>チャネルが活性化されることを見いだした. 3.Prostaglandin F_<2α>a及びThromboxane A_2は,L型カルシウム電流や過分極活性化陽イオン電流には影響を与えなかった.また,細胞内cAMP増大はL型カルシウム電流や過分極活性化陽イオン電流を促進したものの,T型Caチャネルには影響を与えなかった.即ち,Prostaglandin F_<2α>及びThromboxane A_2は,cAMP系以外のセカンドメッセンジャーを介してT型Caチャネルを活性化し,陽性変時作用を示すことが明らかとなった.
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