研究概要 |
本研究は、脳間質での細胞外液および代謝物の動態、すなわち動脈側の毛細血管や脈絡叢から発し、脳神軽細胞・神経膠細胞を灌流し、静脈側の毛細血管やクモ膜顆粒に終わる一連の水・代謝物の流れを解析することを目的とした。平成19年度は、平成18年度に引き続き、1)上衣細胞上皮を介しての水透過性(Pf)と、2)脳間質での体積流(Fv)をラットを用いて測定を行った。脳実質内にカテーテルを留置し、1-3μLの緩和試薬を注入し、その後の緩和試薬の動きをT1強調MRIにより1分間隔で測定を行った。その結果、大脳皮質においては、鼻側では尾側から尾側へと向かう体積流の存在が確認できた。一方、尾側では、逆方向に動く流れが確認された。 しかし、造影剤の注入方法をできるだけ少量にし脳実質への干渉を少なくするために、1μL以下の注入実験を行ったが、今年度中には成功せず、今後の課題として残っている。また、ラット新生仔について、7TMRマイクロイメージング装置にて、血液経由で脳脊髄液を介して緩和試薬を脳実質内に導入し、水の体積流の測定を行うことを試みた。Mnイオン,GdDTPAなどの緩和試薬を試み、GdDTPAが脈絡叢を介して脳室に移行することが確認されたので、現在、脳室内での濃度コントロール法を試行錯誤中である。
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