研究概要 |
平滑筋細胞にT型電位依存性Caチャネルが存在しているが、平滑筋細胞はT型Caチャネルの活性化には適していない環境下にあると信じられてきたため、その存在意義については疑問視されてきた。T型Caチャネルのうちα1Hは消化管や心筋などの末梢組織に多く分布することが知られており、α1Gやα1Iとは組織分布に大きな違いがある。特定の平滑筋組織において特定のサブタイプが発現するという事実は、平滑筋組織におけるT型Caチャネルの役割を十分推測させるものである。妊娠ラット子宮筋におけるCaチャネル発現の計時的変化を調べた研究(Ohkubo et al., Gynecol.Obstet.Invest., 59:80-85, 2005)でも、よく知られているL型Caチャネルの妊娠末期の変化と連動してT型Caチャネルの変動も起こること、また、妊娠中期ではL型Caチャネルとは独立に変動することを見つけた。環境変化によるCaチャネル発現の質的変化(出現サブタイプの変動)はstreptozotocin誘発糖尿病ラット脊髄においても見られ、Caチャネル発現の質的変化が細胞・組織の機能変化に強く関係していることを確認した(この場合はstreptozotocin誘発糖尿病ラットで見られる知覚過敏)(Umeda et al., Life Sci., 79:1995-2000, 2006)。 現在、ラットa1H及びa1G T型Caチャネルサブタイプ特異的なsiRNAの分子設計を行っている。また、各組織の初代培養細胞作成について技術向上を図っている。
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