研究概要 |
GnRHニューロンに発現する膜電位・カルシウム活性型カリウムチャネルとA-型γ-アミノ酪酸受容体(GABA_AR)機能とプロジェスチンによる修飾を解析した。成熟GnRH-EGFPトランスジェニックラットから麻酔下に脳を摘出し、酵素処理で分散し、カバーグラス上で一晩培養し、実験に供した。穿孔パッチクランプ法で単離GnRHニューロンの膜電位・膜電流を記録解析した。ラットGnRHニューロンは既報のSK電流(Kato, et al.,2006)に加えてBK電流を示した。BK電流は60mVパルスで活性化される外向きカリウム電流の30%強を占め、BKチャネル阻害剤であるカリブドトキシン(1μM)で60%抑制された。 60mVパルスで活性化される電流は、SKチャネル阻害剤アパミンでは抑制されず、またラットGnRHニューロンはA電流を示さないことから、BK電流以外は遅延整流性カリウム電流であると考えられる。またBKチャネル活性化に関与するカルシウムチャネルはR型とL型カルシウムチャネルが主であることが判明した。これらに性差、性周期による変動は認められなかった。multi-cell RT-PCR法でBKチャネルサブ ユニットの発現を調べた。雌雄ともにBKチャネルα,β1,β2,β4を発現していることが判明した。 次にGABA_A受容体電流の解析を行った。逆転電位は、GnRHニューロンでは-30mV前後であり、未同定ニューロンは-57mV前後であった。また、GABA_A受容体電流は、ニューロステロイドのアロプレグナノロンとTHDOCで50-150%増強された。またラットGnRHニューロンのGABA_A受容体はα2,β3,γ1あるいはγ2サブユニットで構成されることが判明した。以上からGABAはGABA_Rを介してGnRHニューロンを脱分極し、プロジェスチンはそれを増強すると考えられる。
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