研究概要 |
TRPチャネルファミリーであり,store-operated channel(SOC;細胞内カルシウムストア枯渇時に細胞外液からカルシウムを流入させる経路)を構成するTRPC1が心肥大ラットモデルにおいて遺伝子発現が増加していること,さらにTRPC1発現をsiRNAにより抑制することで,心肥大発現を抑えることを示した(Ohba et al.,J.M.C.C.,2006).TRPC1がNRSFにより発現調節されていること,さらにトランスジェニックマウスを用いて心肥大に関与することを報告した(Ohba et al.,B.B.R.C.,2006). さらにTRPC1が血管平滑筋の肥大にも関与することを示した(Takahashi et al.,2007). 電位依存性カルシウムチャネルβ3サブユニットが,交感神経による心拍制御機構にかかわっていることを示した(Wu et al.,Pharmacology,76,170-179.2006). 交感神経系の制御機構に異常を持つN型カルシウムチャネル欠損マウスの解析を通し,同欠損マウスにおける交感神経制御がR型カルシウムチャネルにより行われていることを,心超音波,ランゲンドルフ心,テレメトリー心電図等による解析により明らかにした(Murakami et al.,B.B.R.C.,in press). 循環器系における主要な電位カルシウムチャネルを構成するCaV1.2の心筋タイプ(CaV1.2a),および平滑筋タイプ(CaV1.2bおよびd)のcDNAを単離した.さらに心筋タイプがβ2サブユニットと選択的に結合することを見出した(Murakami et al.,J.M.C.C.2006).心筋においてはCaV1.2aとβ2がより選択的に結合することが,生理的に見られる,比較的長時間のカルシウム流入に寄与していると,考えられる.
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