研究課題
1)過活動膀胱の排尿障害モデルとして尿道部分閉塞(BOO)ラット膀胱の神経伝達物質受容体異常を検証した。BOOラットより摘出した膀胱において、標識リガンドの[125I]-Ser^1-Ile^8-AngIIを用いる受容体結合測定法によりアンジオテンシン(Ang)受容体を測定し、解離定数(Kd)及び最大結合部位数(Bmax)を算出した。その結果、BOOラット膀胱における[125I]-Ser^1-Ile^8-AngII特異的結合のBmaxが48%有意に減少した。また、ロサルタン及びテルミサルタンなどのアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)は、BOOラット膀胱の[125I]-Ser^1-Ile^8-AngIIの特異的結合を濃度依存的に抑制した。また、テルミサルタンの連続経口投与により、BOOラット膀胱における[125I]-Ser^1-Ile^8-AngII特異的結合のBmaxの減少は有意に抑制された。これより、ラットのBOOにより膀胱AngII受容体数が減少し、この受容体異常はARBの投与により軽減されることが示された。2)間質性膀胱炎の排尿障害モデルにおける膀胱ムスカリン性受容体及びATP受容体の病態生理学的役割及び創薬の標的部位としての可能性を検証した。慢性膀胱炎症モデルとしてシクロフォスファミド(CYP)及び塩酸(HC1)処置ラットの排尿機能を調べたところ、両処置ラットにおいて排尿間隔と一回排尿量が正常ラットの場合に比べ減少し頻尿状態が誘起されることを認めた。受容体結合実験により定量した膀胱のムスカリン性受容体及びATP受容体はCYP及びHC1処置ラット膀胱において有意な減少が認められた。以上の結果から、間質性膀胱炎の排尿障害において、膀胱のムスカリン性受容体及びATP受容体を創薬ターゲットとする抗コリン薬やATP受容体拮抗薬が有用となることが示唆された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
J. Urol. 177
ページ: 766-770
Neurosci. Lett. 414
ページ: 80-84
Life Sci. 80
ページ: 2454-2460