研究課題
基盤研究(C)
脊髄損傷や脳血管障害などの神経障害並びに前立腺肥大や加齢が原因となり、排尿障害(過活動膀胱や排尿困難など)が起こることが知られている。本研究では、排尿障害の病態モデルとして、脊椎損傷、脳梗塞、尿道部分閉塞及び間質性膀胱炎の各ラットを作成し、排尿を司る膀胱の受容体変動を調べ、病態解析並びに創薬ターゲットの可能性を検証した。1)脊髄損傷及び脳梗塞ラットにおいて、膀胱におけるムスカリン性受容体数は有意に高値を示した。一方、尿道部分閉塞ラットの膀胱ムスカリン性受容体結合パラメータは対照群と有意な差異がなかった。2)抗コリン薬のオキシブチニン、トルテロジン及びソリフェナシンは、ラット経口投与後、膀胱ムスカリン性受容体に結合し、オキシブチニンに比べ後者の2薬物は膀胱受容体に選択的に結合した。これより、脊椎損傷及び脳梗塞ラット膀胱における不随意収縮の発現に、膀胱ムスカリン性受容体量の増加が関与することが示唆された。また、新規抗コリン薬は膀胱受容体選択性を示すことを初めて明らかにした。3)過活動膀胱の排尿障害モデルとして尿道部分閉塞(BOO)ラット膀胱において、アンジオテンシン(Ang)受容体を測定した結果、受容体数が有意に減少した。また、ロサルタン及びテルミサルタンなどのアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)は、BOOラット膀胱に結合活性を示した。このBOOラット膀胱における受容体数の減少は、テルミサルタンの連続経口投与により有意に抑制された。これより、ラットの尿道部分閉塞により膀胱Ang II受容体数が減少し、この受容体異常はARBの投与により軽減されることが示された。4)慢性間質性膀胱炎症モデルとしてシクロフォスファミド(CYP)及び塩酸(HC1)処置ラットの排尿機能を調べたところ、両処置ラットにおいて排尿間隔と一回排尿量が正常ラットの場合に比べ減少し頻尿状態が誘起されることを認めた。受容体結合実験により定量した膀胱のムスカリン性受容体及びArp受容体はCYP及びHCl処置ラット膀胱において有意な減少が認められた。以上の結果から、排尿障害において、膀胱のムスカリン性受容体及びArp受容体を創薬ターゲットとする抗コリン薬、ARBやArp受容体拮抗薬が有用となることが示唆された。
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