研究課題
基盤研究(C)
老齢人口の約2.5%が罹患しているとされるアルツハイマー病(ア病)の正確な原因は不明であり、現在早期診断法や予後を好転させる治療法は殆どない。私達は、ア病患者後頭葉よりクローニングされたア病関連神経細胞死抑制ペプチド、ヒューマニン(HN)に注目し、その受容体を解析した結果、HN細胞膜受容体がIL-6受容体群に属し、WSX-1/CNTFR/gp130の3量体からなることを発見した。HN受容体を介したHN作用は生体内においてア病発症を制御している可能性が高く、HN受容体機能の解析はア病病態解明および治療薬開発に重要なブレイクスルーをもたらす可能性を秘めている。本研究では、1.HN受容体の機能の解析、2.脳萎縮を伴うモデル動物の作成、3.内因性HNおよびHN様分子の同定、4.HNおよびHN誘導体の前臨床試験を実施した。HN受容体機能の解析からは細胞内のSTAT3分子の活性化がHNシグナルの重要な機能を担うことを見いだした。また、内因性HN分子の解析からは、4kDaの分子が精巣・大腸に発現しており、LH/hCGによって制御を受けていることを見いだした。ア病モデル動物を用いたHN誘導体、コリベリン(CLN)の前臨床試験の結果、CLNをア病モデルマウスTg2576の鼻腔内に投与することによってSTAT3が活性化され、記憶障害が著明に改善されることを見いだした。本研究において作成したHN受容体欠損ア病モデルマウスは、これまでに例数が少なく、予備的なデータではあるが、記憶障害が促進されており、HNシグナルがア病関連記憶障害を制御するという我々の仮説が支持される結果を得た。
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