研究概要 |
心房細動は心不全や血栓による梗塞など生命の危機につながる不整脈疾患であるが、その発生部位と考えられる部位には多くの種類の細胞が集まり複雑な構造をとっており、発生機序はよく分かっていない。我々は、不整脈発生部位の細胞活動を可視化する事により、発生機序を明らかにしようと本研究を開始した。本研究では3つの目標を設定している。 一つは、不整脈発生部位の細胞活動の可視化であり、Ca^<2+>シグナルと膜電位シグナルを指標に検出を行う計画であるが、これについては、組織中の細胞活動の可視化がほぼ達成されつつある。すなわち、活動電位の伝導障害によるalternans(交代現象)や、興奮収縮連関の異常によるCa^<2+> alternansが細胞レベルで区別可能になった。またこの方法により突然死を起こす拡張型心筋症マウス心筋の不整脈発生の過程も研究中であり、これらの結果は国内外の学会で発表している。(Kurebayashi et al., J.Pharmacol.Sci. 103, supplement I, 2007 ; Kurebayashi et al., Biophysc.J., Abstract 2007 ; Chugun et al., Biophysc.J., Abstract;,2007)第二は不整脈発生の原因蛋白の追求である。抗体染色や特異的ブロッカーによる検討から、現在、コネキシン43、外向き整流性Kチャネルなどが、関与蛋白の候補に上がってきている。第三は原因蛋白の過剰発現や発現抑制による症状の再現である。現在アデノウィルスベクターを用いた蛋白発現制御を、コネキシン43をモデルに用いて実行中である。また、薬による制御については、現在、各クラスの抗不整脈の効果を可視化により解析中である。
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