当研究室では以前、ジヒドロピリジン(DHP)系Ca^<2+>拮抗薬でホスホン酸系の塩酸エホニジピン(ランデル^<【○!R】>)がL型およびT型両チャネルを抑制し、収縮力抑制に比して強い心拍数減少作用を有することを発見した。この薬は臨床で従来のDHP系Ca^<2+>拮抗薬と比べて反射性頻脈が少ないという優れたプロフィールを示していた。T型Ca^<2+>チャネルはL型とは異なる性質を有しており、さまざまな病態への関与が示唆されているが、現時点で十分な有効性、選択性を持った阻害薬が見出されていないため、その生理的意義については不明な点が多い。本研究ではefonidipineの光学活性体であるR(-)-efonidipineの心筋における選択的T型Ca^<2+>チャネル阻害薬としての有用性を検証した。単離心室筋細胞を用いた膜電位固定法で検証したところ、刃(-)-efonidipineは濃度依存的にT型Ca^<2+>チャネルを抑制し、1μMで約85%抑制した。一方L型に対してはほとんど抑制作用を示さなかった。単離心室筋細胞でのCa^<2+>transient、右心室乳頭筋収縮力に対して影響が見られなかったことからもR(-)-efonidipine(1μM)がL型Ca^2+チャネルを抑制しないことが判明した。従って、R(-)-efonidipine(1μM)は心室筋においてT型Ca^<2+>チャネル選択的抑制作用を持ち、T型Ca^<2+>チャネルの生理的意義を解明するための有用なツールとなり得る。一方、幼若期心筋に対してR(-)-efonidipine(1μM)は拍動数や心室筋収縮力を有意に減少させた。従って、幼若期心筋ではT型Ca^<2+>チャネルが自動能や収縮に寄与していることが、薬理学的に初めて実証された。
|