研究課題
基盤研究(C)
アレルギー性気管支喘息時に発現する気道過敏性の発症機序を薬理分子生物学的に検討を行い、以下の成果を得た。1.抗原反復チャレンジラットから摘出した気管支は endothelin-1(ET-1)収縮反応性が増大していた。このET-1 収縮反応性亢進にはCa^<2+>感受性亢進現象が関与しており、CTI-17とミオシン軽鎖キナーゼのリン酸化(活性化)が亢進していることに起因していた。2.反復抗原チャレンジにより気管支の matrix metalloproteinase (MMP)-12 mRNAとタンパク質の発現と活性化が亢進しており、MMP-12 が気道過敏性に関与していることを明らかにした。3.抗原暴露後に気管支平滑筋において活性化される転写因子を核抽出液を用いて protein/DNA array にて網羅的に把握した。活性化された転写因子のうち、RhoA プロモーター領域の配列と結合する可能性がある転写として、USF-1、Sp1、NF-E1、STAT5、STAT6 をつきとめた。4.Interleukin-13 は転写因子 STAT6を介して気道過敏性を発現した。5.Statin 系薬物である lovastatin をin vivo で投与することによって、抗原反復チャレンジによって発現するラット気道過敏性を ex vivo において抑制することが判明した。その際 RhoAの細胞膜への移行もlovastatin が抑制することも明らかとなり、statin系薬物が気管支喘息における気道過敏性の改善に有効である可能性を示唆した。6.Glucocorticoids は抗原誘発時に気管支平滑筋においてみられる RhoAupregulation を抑制することにより、気管支喘息に有効性を示すことが示唆された。
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