研究課題/領域番号 |
18590247
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
西尾 眞友 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80156041)
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研究分担者 |
石橋 隆治 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (60184561)
吉田 純子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (20064628)
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キーワード | 動脈硬化 / カルシウムシグナリング / 一酸化窒素 / カルシウム拮抗薬 / 細胞増殖抑制 / G1期停止 / pRB / p21 |
研究概要 |
動脈硬化は虚血性心疾患や脳血管障害などさまざまの疾患を起こす要因となるため、その予防および治療は重要な課題となってきている。動脈硬化の一因として血管平滑筋細胞の異常な増殖の関与が示唆されているが、本研究では、細胞増殖におけるカルシウムイオンと一酸化窒素の機能に焦点を当て、血管平滑筋細胞の増殖抑制を介して抗動脈硬化作用を示すことが示唆されているカルシウム拮抗薬をツールとして用いて解析を行った。標的細胞として、カルシウム拮抗薬の標的であるL型Ca^<2+>channelを欠くヒト扁平上皮がん(A431)細胞を用いた。細胞増殖解析の結果、アムロジピンなどのジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬が、A431細胞の容量性カルシウム流入の抑制を介してその増殖を抑制することがわかった。また、A431細胞には、容量性カルシウム流入を担うイオンチャネルの分子実体であるTRPC(canonical transient receptor protein)サブファミリーのうち、TRPC1とTRPC5が発現していることが確認された。更に細胞周期進行においても細胞内カルシウムイオン上昇が必要であるが、アムロジピンはA431細胞の細胞周期をG1期で停止させた。この時、G1期からS期進行に必須であるpRB(retinoblastoma protein)のリン酸化レベルは低下し、cyclin D1やcyclin dependent kinase4(CDK4)など細胞周期関連因子のタンパク質発現レベルおよびそれらのキナーゼ活性が低下した。一方、細胞周期回転の抑制因子であるp21タンパク質の発現は亢進した。動脈硬化の進展にp21蛋白質が抑制的に作用していることが示唆されていることから、本蛋白質が動脈硬化予防薬の新規分子標的となる可能性が示された。
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