研究概要 |
RAGEの細胞内シグナル生成のメカニズムを解明するためFRET(fluorescence resonance energy transfer)現象を利用しRAGE分子の挙動を解析した。 1.RAGEの細胞内取り込み機構の解析 RAGE細胞外ドメインに結合し,かつRAGEとリガンドとの結合を阻害しないモノクローナル抗体をAlexa fluor 488で標識し,血管内皮由来細胞株ECV-4-1の培養液中に上記蛍光標識抗体を加え,生細胞表面のRAGEを蛍光標識することによりRAGE分子の動態を観察した。その結果,RAGEは恒常的に細胞内へ取り込まれており,リガンドの添加によってもその速さは大きな変化を示さないことが明らかになった。また,pinocytosisを抑制することが知られているEIPA5-(N-ethyl-N-isopropyl)amiloride)を50mM添加することでRAGEの細胞内取り込みが低下したことから,RAGEの細胞内取り込みにはpinocytosisが-部関わっていることが示唆された。 2.2分子FRET法による細胞表面RAGEのリガンド依存性オリゴマー化検出 1.と同じモノクローナル抗体をFRETのドナーとアクセプターの対をなす2種の蛍光色素(Alexa Fluor 488 および Alexa Fluor594)で標識し,RAGE過剰発現細胞株の培養液中に上記の2種の蛍光標識抗体を加え,生細胞表面のRAGEを蛍光標識し,リガンド結合によるRAGEのオリゴマー化をFRETシグナルの変化を測定することによりモニタリングした。その結果,EIPA存在下でLPS(lipopolysaccharide)をリガンドとして用いると,刺激後5分以内にFRETシグナルの上昇が検出され,リガンド依存性のRAGEのオリゴマー化が初めて実験的に示された。
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