研究課題
基盤研究(C)
研究者らはBTBドメインを持つzinc finger因子CIBZを新規同定した。CIBZが転写因子として細胞死や発生に重要な機能を持つ転写制御因子であるCtBPと結合することや、CIBZがメチル化CpGジヌクレオチドと結合することを報告した。CIBZは多彩なドメイン(二つの転写抑制ドメインと転写活性化ドメインなど)を持っていることから、この因子が重要な生理機能を担っていることが予想される。CIBZの生理機能を解明するため、細胞死に注目した。筋芽細胞C2C12は低血清で培養することで筋分化を誘導すると同時に細胞死も誘導できるin vitroの系が確立されている細胞株であり、筋分化や筋疾患の研究に幅広く利用されている。C2C12細胞を低血清で細胞死を誘導した場合、高い発現のCIBZがdown-regulationされたことから、CIBZが細胞死に関与する可能性が示唆された。C2C12細胞にてSiRNAを用いてCIBZを特異的にノックダウンした場合、アポトーシスのマーカーであるカスパーゼ3、7、9の活性とPARPの切断が上昇し、ミトコンドリア経路を介した細胞死が亢進した。また、この細胞ではCIBZが関与する細胞死がCtBPに依存する経路と依存しない経路が存在することを見出した。興味深いことに、CIBZをp53欠損のマウス胚性繊維芽細胞MEFで特異的にノックダウンした場合、カスパーゼ3の活性とPARPの切断も上昇したことから、CIBZ由来の細胞死はp53に依存しないということが分かった。さらに、CIBZにカスパーゼ3の切断コンセンサスモチーフが5箇所存在することからCIBZがその基質である可能性が示唆され、そのうち2箇所を活性型カスパーゼ3の切断サイトとして同定した。
すべて 2008
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Journal of Biological Chemistry 283(21)
ページ: 14242-14247
Journal of Biological Chemistry 283, 21