研究課題/領域番号 |
18590284
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
幡野 雅彦 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助教授 (20208523)
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研究分担者 |
藤村 理紗 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助手 (30376363)
徳久 剛史 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20134364)
有馬 雅史 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (00202763)
坂本 明美 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (90359597)
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キーワード | Ncx / 転写因子 / 神経堤細胞 / 腸管神経細胞 / 標的遺伝子 / zinc finger蛋白 / ノックアウトマウス / Nczf |
研究概要 |
神経堤細胞の神経系サブセットに特異的に発現しているホメオボックス遺伝子Ncx (Neural crest homeobox)ノックアウト(KO)マウスは生後約2-3週令で巨大結腸症を発症し死亡する。病理組織学的にヒトのヒルシュスプルング病類縁疾患に一つであるIntestinal Neuronal Dysplasia (IND)と類似しており、INDモデルマウスとされている。Ncxは神経堤細胞特異的転写因子としてその下流の標的遺伝子の発現を調節することにより機能している。Ncxを中心とした転写因子ネットワークを解析する事により神経堤細胞分化・増殖・死の制御機構を明らかにし、ヒルシュスプルング病をはじめとしたNeurocristopathyの病態を明らかにできると考えられる。我々はRDA法、DNAマイクロアレイ、クロマチン免疫沈降法などによりNcxにより発現調節をうけている遺伝子を同定している。そしてこれまでにアクチン結合蛋白Nd1,Zinc finger protein Nczf,細胞内平面極性蛋白(PCP) Prickle2などを同定した。本研究課題ではZinc finger proteinであるNczfについて解析を行った。NczfはNcx同様腸管神経細胞に発現しており、またその他の細胞にも発現が認められる。NIH3T3細胞をdoxorubicinで処理すると細胞死が誘導されNczfのmRNA発現も上昇する。その他胸腺細胞をデキサメサゾン処理することによってもNczfは誘導された。一方siRNAによりNczfの発現を抑制すると上記のアポトーシス刺激に対する感受性が高くなる。このことよりNczfはアポトーシスに対しprotectiveな作用をしていると考えられる。次に生体内でのNczfの機能を明かにする目的でNczfノックアウトマウスを作製した。一部キメラ率の高いマウス(coat colorで100%)において不妊となり精子形成がmeiosis 1で停止していた。精子形成過程におけるNczfの発現をin situ hybridizationで調べたところ、spermatogoniaでは発現が認められず、spermatocyte、特にパキテン期に強発現しており、spermatidにおいては発現が低下していた。これらのことよりNczfは生体内においては精子形成に重要な役割をしていることが示唆された。神経堤細胞および腸管神経細胞におけるNczfの機能を調べるためにコンディショナルノックアウトマウスを作製している。
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