研究課題/領域番号 |
18590285
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
平賀 紘一 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40004733)
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研究分担者 |
加藤 一郎 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (50250741)
川口 博 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (50361952)
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キーワード | 早期発症型認知症 / ニューロセルピン / 遺伝子変異 / カイニン酸 / 免疫電子顕微鏡 / 遺伝子導入マウス / 小胞体 / リソソーム |
研究概要 |
ニューロセルピンはSondereggerらによって1997年にクローニングされた分泌性のセリンプロテアーゼインビターである。その後、常染色体優性遺伝する家族性の早期発症型認知症の一つであるFENIB(Familial Encephalopathy with Neuroserpin Inclusion Body)がニューロセルピンの遺伝子変異により起こることが1999年に明らかにされた。我々はヒト変異型ニューロセルピン(G392E変異)遺伝子導入マウスを作製・解析し、本マウスでは免疫組織化学により大脳皮質・海馬・扁桃体・橋・脊髄等でのニューロセルピンのニューロン内蓄積が起こることを明らかにした。このマウスでは、カイニン酸刺激に対する易痙攣性が認められ、FENIB疾患モデルマウスとして適切であることを明らかにした。てんかん・痴呆症状を呈するFENIB患者の傾向として、その発症年齢が低く症状が重篤であるほど、形成されたニューロセルピン封入体は大きくかつ多数存在することが報告されており、封入体形成がFENIB発症に関わる可能性が強く示唆されてきている。我々は電子顕微鏡レベルで脳のG392E変異遺伝子導入マウスニューロンの小胞体・核・ミトコンドリア等の細胞内微細構造を観察し、小胞体におけるroundな、あるいはirregularな異常構造体形成を見出した。さらに免疫電子顕微鏡観察を行うと変異型ニューロセルピンは小胞体のみならずリソソーム内にも蓄積していた。G392E変異ニューロセルピンがリソソーム内に蓄積する意義は現時点では不明であるが、分子レベル・細胞レベルで盛んに行われている蛋白質の品質管理、特に異常蛋白質の分解経路の研究において、本マウスは個体レベルから新たな知見を提供できるものと考えられる。
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