本研究はファンコニ貧血(FA)原因遺伝子タンパクであるFancD2の、モノユビキチン化、そしてその後の脱ユビキチン化による細胞内動態の制御機構の解明を目的とする。FancD2は、ユビキチンリガーゼであるFancLによってモノユビキチン化される。このFancLとFancD2については、直接的な蛋白結合することを明らかにしており、その結合においてはFancLのPHD fingerドメインが必要であることがわかった。さらに、このPHD fingerドメインはFancLとその他のファンコニ貧血原因遺伝子タンパクとの結合にも必要であることを明らかにした。次にFancD2のモノユビキチン化変異体をノックインしたニワトリDT40細胞を作成し、その細胞の機能解析を行った。その結果、FancL及びFancLによるFancD2のモノユビキチン化が、DNA損傷修復に必要であることを明らかにした(Genes to Cells(2007))。 現在、さらにモノユビキチン化したFancD2の細胞内動態を明らかにするために、モノユビキチン化したFancD2に特異的に結合する蛋白をyeast two-hybrid法によって同定しており、その蛋白の解析を行うことによって、モノユビキチン化FancD2の細胞内動態をはじめとする機能の解析をおこなっている。また、すでに作製しているGFP融合FancD2発現細胞を用いて、DNA損傷後のFancD2の細胞内動態の解析もおこなっている。今後は、FancD2とその結合蛋白の、DNA損傷後のフォーカス形成の有無とその形態、及びその消失の速度などの核内動態の解析を行っていくことによって、これらの蛋白の細胞内動態機構を明らかにすることを目指している。
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